クワガタムシ科(Lucanidae)についての調査記録など

目的はverificationismに基づく原典検証・情報整理・批評説明。なお非営利・完全匿名を前提としています。

New world of Lucanidae.

 今回でひとまずの区切り。まだ1年も経ってませんが、とりあえず2.5万アクセスされたようです。

 最近だからなのかは分かりませんがgoogleやyahooなどで"Lucanidae"と画像検索すると上位結果に当ブログがあったのは、2万アクセス程度そんなに多くないと思っていたので少し意外でしたが。

 様々問題は山積みです。色々悩み作った当ブログですが当初の予定通り"内容が内容だけに自発的宣伝は全くしない"という事を配慮としました。生々しい話が多いですが世の中そんなもんです。

https://blog.goo.ne.jp/xyzken/e/df094c50aa5162ad34c8f857673b702d

 化石種の知見は全体からすると極僅かでしょうが、現生種との関係や地球史での出来事、人々の関心の複雑さまで様々な考察に至れるのは"これだからこそ"という事もあるのかもしれません。

 太古のクワガタに想いを馳せると、現生種のクワガタというのは"新しい世界に生きている"というような、"人々が繁栄した現在は新しい時代なのだ"という事を思い出させてくれますね。

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(秘蔵から記念解放。インド・アルナーチャル・プラデーシュ州東部産Lucanus izindui Okuda & Maeda, 2016:イジンドゥミヤマクワガタ♂59.3mm。現生するミヤマクワガタ類の資料では最も個体数発見例の少ない分類群の一つ。大きめの♂は顎先が尖らず切株状になり、近縁別種よりも大顎は艶消しでゴツゴツした印象、頭楯は小さく近似別種ランミヤマやチェンミヤマ等との判別は、実際に個体数を観察すれば容易な印象です。細身でチェンミヤマに似ますがイジンドゥは大型になりにくいという点でランミヤマやチョウミヤマ的です。大型でも特異的ですが小型の方が判別しやすいかもしれません。自然界でのミヤマクワガタの仲間は基本的に大型個体よりも小型〜中型が多く見られます。イジンドゥミヤマはそもそも個体数が少なく、強風吹き荒れる局所ポイントで僅かな時間帯を狙いひたすらに邂逅を待たないと出会えないのだとか。高山地形で局所的に分布し孤立特化したミヤマクワガタの1種と考えられます。しかし発見数が少な過ぎて実物をずらりと並べるのはどうも至難。過去にミャンマー産やチベット産のチベット系ミヤマを適当に"イジンドゥ"として売る転売屋が居た事もありルートの選定は厳しく見ないと騙されかねません。当記事画像の個体は紛うことなきイジンドゥミヤマ。とりあえず私はイジンドゥミヤマが揺るぎない分類群である事を理解する程度には個体数を観察しました。パラタイプの最大に匹敵する型の個体は皆無に等しく僅かしか発見されてない等あり、実物資料は大変高額なので種内変異を理解する事は大変困難と言えましょう。原産するエリア周辺は変わったクワガタ達が様々特化していて公式には未記録未発表のものもあるようです。この地域をはじめ新知見を網羅したアジア産クワガタムシ科甲虫に関しての分厚い図鑑が欲しいですね)

【Reference】

Okuda, N.; Maeda, T. 2016: Two new species of the genus Lucanus Scopoli and two new subspecies of the genus Hexarthrius Hope (Coleoptera, Lucanidae) from Arunachal Pradesh, northeastern India. Gekkan-Mushi, (544): 20–21, 25-26.

【追記】

 記事を書いたり友人達と話すと色々思い出す事があったと様々な知見を思い出します。

 探してもなかなか見つからなかった種の虫を原産地で大変苦労して採集し提供してくれる人達の、努力の結果は忘れる事ができません。彼らの其の行いには無条件で感謝があります。真似出来る人は、そう居ないだろうと思います。有難くリスペクトを兼ねて役立てなくてはならないと考えます。

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