2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧
コナン・ドイルの空想科学小説「失われた世界」にも出てきたと有名な「ギアナ高地」のクワガタムシ。テレビ全盛期の時代も何度か映った事もある。そんなのを知った時には是非見たい、是非採集したいとなった人はクワガタファンなら沢山いた。私も例に漏れな…
タイトルに対する解答は単純明快で、不正研究になるからです、で終わる。とはいえどう不正かという話。※手技や思考的に不器用だから再現性を確認出来ない人の意見は反映されないから此の問題に当たらない。当ブログを読んでいればもう分かったからという人も…
虫を見ていく上で様々な分類群を見る機会がある。初心者でもゆくゆくは希少性という概念を知る事になる。だがこの「希少性」という言葉の裏には色々な要素が絡み合っていて結局は「客観的な希少性」であり、「実際的な希少性」では無い事の方が多い。絶滅種…
分類学では「亜属」という概念が使用されうる。これまでの歴史で、属内種数が多くなり過ぎた属分類群では、いくつかの亜属に分けた方が分かりやすいという考え方も理解出来る。属分類がファイリングのような分類であるとして、亜属もその中の似た分類法で使…
別に新種記載しなくたって歴史に名が残らなかったって絶滅さえさせなければ生物は地球上の何処かにはいる。だが見つける前に絶滅されたら誰も出会う事が出来なくなる。 分類学活動の最終目標は「自然界での未知種の生存」であるとも考えられる。過激な考え方…
私とも深い議論をやり取りした事がある国外の学者氏が、別国家である中国の甲虫についてたった1頭の奇形の可能性が高い個体を使い非科学的新種記載をして、其れが原因で原産地の愛好家達とトラブルになっていたという情報が入ってきた。現地人達の言い分は「…
新種記載というのは昔から憧れられやすい。特に人気のある生物だと競争も激しい。そして今代は国内など近場での新種発見の可能性はなくなりつつある(ネタ切れという意味)から国外へと目を向けざるを得ない人もいる。そして問題になっているのがABS問題であ…
偶に記載文の基準産地に疑問する事がある。指摘されて間違いだった例もあり、原著者が正確なデータを示していない前例が残っている。であるので、自然界での再現性確認が随時必要になるわけだが、どういう事なのかというのを例を挙げて説明紹介する。 モヤモ…
正確な同定方法について観察もせずに納得行かないという人がいる。だが「観てないなら納得行く訳無いでしょう」と返すとそこで会話が終了してしまう。彼らは一般的な社会認識として納得が出来ない。実際に「観るだけ」すらコストを払う事に忌避せざるを得な…
やる人が少ないだろうから稀にしか気づかれないだろうが、ある程度整形済の「標本」を再整形したくなったとき、いつものやり方で軟化が出来ない事がある。そういう個体は、例えば80℃くらいの湯に入れても殆ど関節が柔らかくならない。これは困ったという人が…
近年になって虫業で生計を立てようとする人が一気に増えている。たしかに成功者は羽振りが良くて憧れを集めやすいが、ほんの数年前までは数人しかいなかったのが今や売り手のレッドオーシャンを築いている。この歯止めの効いていない感じは危ない。 私の知る…
「え?比較無しに識別を?できらあ!」という、どんな場所でも、まさかあの人がそんな事をするなんて信じられない事が起きるこの時代この社会、一見便利なようで不便な事にありとあらゆる誤認で溢れている。種記載論文で理想的な体裁の出版があっても誰も真…
誤同定はどこかしこ世間では溢れに溢れているとはこれまでの記事に記した。誰彼にマトモな事を求めても、各々能力限界があり大自然から返り討ちに会う事がしばしばあるのがこの世界だ。これから興味を持ち正解や真実を知り沢山の標本に出会う人達。そんな人…
ホロタイプ標本参照必要性や、特徴を観察する意義などはこれまでの記事で、教訓を用いて説明した。今回記事にするのは「標本の損壊」について。 「ホロタイプを壊しちゃいけない」なんて当然なんだから心配しなくて良いだろうと言う人もいるだろうが、実際で…
論文での記載では一定の「体裁」を出版社が決めていて、それは出版社によりやや異なる。これが厳しい科学誌ほどインパクトファクター指数が高い。しかし、体裁が厳しいからと言って良い論文という訳でも無いし、著者によっては出版社に従うだけ従い、別な出…
単純な話、パラタイプはホロタイプの原著論文内で「生物種的特徴の再現性」と「他の普遍的標本との識別」を示される為にある。簡単に説明すると、沢山あれば論文内で生物種としての形態的特徴の再現性・安定性を、著者が確認した事をアピール出来る。それだ…
生物種を知るためには標本が必要になる。そして具体的な概念とその定義の按配を知るには網羅的な観察に加え、原著論文の確認が必要になる(原綴りの確認にも必要だが、必要となる理由は過去記事の【追記】にて超長文だが説明したのでリンク:https://ivene.h…
巷ではよく「誤同定」がなされる。昔ならば、誤同定をしている人達は指摘されるとすぐに正確な情報に従い、己の信頼性を維持していた。しかし昨今では、其の「信頼性」に無関係な宗教観やイデオロギーを由来して観る人間がTwitterなどのSNSで先鋭化され、間…
化石種を見ていると、やはり絶滅というのは生物の儚さを知ると同時に悲しい気分になる。生きた姿を見られないからである。例えばたしかに、琥珀の中の虫などはまるで生き生きとしていたところで溺死したという姿勢をしているが、やはり個体として「生きてい…
データが曖昧で、既知分類群の形態に当て嵌めにくい標本は視覚的には興味深いのに研究には使えない。しかし、そういう標本も半永久的に残りうる。 (1999年スマトラ島産66mm。採集人が適当に仲介業者に渡すと詳しいデータが分からない。形態も細部は歪で、天…
現生するクワガタを題材に、様々な形態の見方を解説する人は多い。特にツヤクワガタ属(Genus Odontolabis)などは、サイズと顎の形態変異との間に相関振れ幅が広い例が多く、他のポピュラーな種から思い込んだ固定概念を取っ払ってくれる。 必ずしも大歯個…
クワガタムシを始めとする昆虫は、やはり発生変異が種によって振れ幅を違えるという状況が面白い。 しかし、一見して視界に入りやすい「外形」は良いのだが、論文上で別種であるという根拠で示される「交尾器形態」や、参考にされる遺伝子は変異の事をあまり…
昆虫などの生物を調べてみると雌雄型(モザイクを含め)をはじめ、「奇形」や「突然変異」の単語を見聞きすることが少なからずある。外的影響のみによる外傷など身体の状態変化に限った見た目の変貌とは異なり、遺伝子的な影響が主として働き生じる変貌であ…
世間一般的に、いまは雑種生物を知る機会は一般的である。しかし、雑種とはどういう意味なのか。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%91%E7%A8%AE 簡単にいえば、2つの種系統が交配して出来た子孫である。ちなみに国際動物命名規約では雑種と分かる学名は…
アリエノプテラ類について私は専門外なのだが、白亜紀から始新世で見つかっている目階級?レベルの絶滅系統と聞いては調べてみたくなり成虫個体を入手しけり(結構な不完品なので安物、状態が良い琥珀ならば成虫は流石にキツい相場になる)。非常に希少な標…
Lucanidae科甲虫は世界に1500種程度いると言われている。しかし、ん?と思う事が一つ、たった1500種だけ?という点が気になる。場所によっては狭いエリアに数十〜百数種が混生して生息し、近縁種同士が邂逅するような産地では互いが交わらないように形態差を…
文献やSNSで上がってくるクワガタの標本など、「なんじゃこりゃ」と言いたくなるような姿勢で作られているのを散見する。交尾器や台紙で裏面が全て見えないのもそうなのだが、既知知見の判別で重要参考にされているのに隠れている部位があると考察が出来ない…