†Penichrolucanus kabakovi Nikolajev,2010についての検証
Penichrolucanus kabakovi Nikolajev,2010
Type data: Lower Cretaceous Aptian, Zaza Formation of the Russian Federation, Transbaikalia (Bayssa locality).
http://www.fossilworks.org/cgi-bin/bridge.pl?a=taxonInfo&taxon_no=326861
産地はロシアのZaza Formation。約1億2000万年前の中生代白亜紀アプチアンの地層から出土した節足動物破片化石を基に記載された。
検証説明のため画像を引用する。
(「G. V. Nikolajev. 2010. On the discovery of the genus Penichrolucanus Deyrolle, 1863 (Coleoptera: Lucanidae: Figulinae) from the Lower Cretaceous of Transbaikalia. Caucasian Entomological Bulletin 6:25-26」より引用した図)
残念ながら当然なのだが全くクワガタには見えない。ツメカクシクワガタ属(Genus Penichrolucanus)の体の一部に偶然似ているだけで其の属に分類された虫化石と考えられる。ここまで破損が大きいと何の虫だったのかすら全く分からない。スケッチを見てもクワガタらしさは無い。
以上の事から、偶然一部が似た事からの過剰解釈の結果を論文として出版された一例と考えられる。
また以下の論文では、ツメカクシクワガタがアフリカから南米とインドシナへ拡散した説と、ロシアとアラスカの結合部から南下した説の2つが挙げられている。
【Reference】
G. V. Nikolajev. 2010. On the discovery of the genus Penichrolucanus Deyrolle, 1863 (Coleoptera: Lucanidae: Figulinae) from the Lower Cretaceous of Transbaikalia. Caucasian Entomological Bulletin 6:25-26
【追記】
ツメカクシクワガタが白亜紀のロシア(ローラシア大陸内)に生息していたとすると確かに興味深い結果だろうが、それだと今のロシアから北米大陸、またヨーロッパ〜アフリカの広大なエリアの中で何処にも現生していない理由が何なのか分からない。アトランティカ大陸(アフリカ大陸・南米大陸)は、およそ1億7000万年〜1億年前にゴンドワナ大陸南部(オセアニア・南極・インド亜大陸の繋がっていた陸地)と分離しているとされ、出現は其れ以降と考えられる。ツメカクシクワガタはチビクワガタ属(Genus Figulus)のような小さな体格だが、触覚形態はネブトクワガタ属(Genus Aegus)に似ている。東南アジア周辺・オセアニア・南米大陸のみに現生種が分布していながらアフリカ大陸に分布が無い事から、始新世の温暖期にて南米大陸が南極を介しオセアニアと繋がった時代にオオツメカクシクワガタ属の祖先が南から北上移動、またスンダラントとサフル大陸が繋がった時代にチビクワガタ属やネブトクワガタ属と共に往来・各種分布を広げたと推定出来る。つまり白亜紀にはツメカクシクワガタが居なかったと考えられるが、とりあえず化石になったこの昆虫?生物の完全体がいつか発掘されるのか期待してみたい。
http://k-senior.sakura.ne.jp/2008/080210-kaiyuu-hanawa/080210-hanawa-3.html
http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/5764592.html
【Key words】Lucanidae, Lucanid beetle, Lucanids, Lucanoid Coleoptera, Stag beetle, fossil, extinct species, article, description, クワガタ, クワガタムシ科, 甲虫, 昆虫, 化石,