クワガタムシ科(Lucanidae)についての調査記録など

目的はverificationismに基づく原典検証・情報整理・批評説明。なお非営利・完全匿名を前提としています。

†Platycerus zherichini Nikolajev,1990についての検証

Platycerus zherichini Nikolajev,1990

Type data: Oligocene, Pozhar region, Russia.

http://www.fossilworks.org/cgi-bin/bridge.pl?a=taxonInfo&taxon_no=224871

 産地はロシアのヴォログダ州ヴォジェゴドスキー地区ポジャル。約3500万年前の新生代第三紀漸新世の地層から出土した甲虫化石を基に記載された。

 検証説明のため画像を引用する。

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(「G. B. Nikolayev. 1990. Stag Beetles (Coleoptera, Lucanidae) from the Paleogene of Eurasia. Paleontological Journal24(4):119-122」より引用した図、スケールバーは1mm)

 これはクワガタムシ科。Nikolajevがクワガタムシ科化石種に分類した数多くある記載種中で、第三者からもクワガタムシ科甲虫と判る唯一の化石種(事実)。

 触覚は第一節が長く第二節から膝状に曲がっておりクワガタムシ亜科に分類可能と思える。他形態もクワガタらしい。Platycerus属に分類されてはいるが、大顎はやや短い雰囲気もあり変わっている。触角の形態がSucciniplatycerus属の形態に共通しているように見えるので、其方の属に分類するのが良いのかもしれない。

 ちなみに、この虫の腹部先端では生存時に収納されていたと考えられる腹部背板第8節・腹部腹板第8節(腹板第6節)と9th segmentが、腹板第5節先端から飛び出している。

【Reference】

G. B. Nikolayev. 1990. Stag Beetles (Coleoptera, Lucanidae) from the Paleogene of Eurasia. Paleontological Journal24(4):119-122

【追記】

 こういう化石画像を眺めていて思い出すのだが、稀に個人コレクションから新種記載される事例をチラホラ聞く。だが巷では個人の秘蔵や死蔵が問題だという意見が出ているのを見る。これは金銭的な問題が絡む事もあり非常に悩ましい問題なのだが、よく考えてみればそんなに解決を焦らなくても良いのでは?と考える(急ぐなら持ち主に交渉すれば良いのでは?と)。しかし彼らは枕詞に研究が遅れる事を危ぶむ文章を添えて話す。いやいや、どれだけ昔の資料で論文を書こうとしているのか分かっているのかと。数百万数千万数億年前の絶滅生物化石の研究が少し遅れたくらいで人類の生活には何の支障も無い。政治的過ぎて原野商法を連想してしまう。そもそも現生種との直接的関係も上手く解釈出来ない。タイプ標本1頭や僅かな部位で粗野に描かれた論文が通るような再現性もそこまで求められていない風潮の業界で何の研究が遅れるんだろう。他人に上から目線で分かりにくい軽口を叩く前に既知論文の再検討した方が良いんじゃないかな。他人の苦心して集めたコレクションに文句を付ける前に採集作業に時間を割いた方が生産的と考える。博物館に寄贈された中に贋作や面白い標本が色々ありそう。それをどう解釈するかで、科学的な進歩とするか宗教家に嗜められるかが変わってくる。客観的に見れば全て娯楽。どれだけ高尚難航且つ平易明解かが勝負どころである。

https://ushikubou.com/culture-america-evolution

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