クワガタムシ科(Lucanidae)についての調査記録など

目的はverificationismに基づく原典検証・情報整理・批評説明。なお非営利・完全匿名を前提としています。

†Ceruchites hahnei Statz,1952についての検証

Ceruchites hahnei Statz,1952

Type data: Oligocene, Chattian lacustrine - small shale in the Rott Formation of Germany.

http://www.fossilworks.org/cgi-bin/bridge.pl?a=taxonInfo&taxon_no=288345

 産地はドイツのRott Formation。約2500万年前の新生代第三紀漸新世の地層から出土した甲虫化石を基に記載された。

 検証説明のため画像を引用する。

f:id:iVene:20210926010938j:image

(「G.V. Nikolajev 2006. On the taxonomic status of the Upper Oligocene genus Ceruchites Statz (Coleoptera, Lucanidae)」より引用した図)

 化石中の虫は破損・欠損が大きい。

 本属のタイプ種の体色は赤褐色。Ceruchites hahneiの寸法(単位:mm):体長(大あごを除く)18.8;頭部の長さ4.6;前胸部の長さ3.8;エリトラの長さ10.2。前胸部の幅は9.0、との事。

 当分類群について、追加報告書は何だか解釈が難しい。右図(b)は再構築図という事だが、キンイロクワガタ亜科(Lampriminae)的な形態の触角が新たに描かれているように見えるのは一体何なのか。ツヤハダクワガタ属(Genus Cerchus)に近しい形態だからと付記された予想図なのか分からないが、ツヤハダクワガタ属とキンイロクワガタ亜科は触角の形態がそんなに似ていない。体型はクワガタらしい気分はするが、左図(a)のスケッチが真だとすれば其の化石ではクワガタとは言い切れない。クワガタムシ科にも見えるがゴミムシ科やゴミムシダマシ科等にも見える。また触角が揃っていたとしても思い込みのスケッチか否か確認する必要がある。腹節板5枚が欠損し且つ触角第一節が短い描写はクワガタムシ科ではない可能性を含んでいる。

 タイプ標本を確認する必要がある。

https://research.nhm.org/ip/georg-statz/

f:id:iVene:20220411232907j:image

(「G. Statz. 1952. Fossile Mordellidae und Lamellicornia (Coleoptera) aus dem Oberoligozan von Rott. Palaeontographica Abteilung A 102:1-17.」より引用図)

 原記載に掲載される写真図では触角が見られない。

【References】

G. Statz. 1952. Fossile Mordellidae und Lamellicornia (Coleoptera) aus dem Oberoligozan von Rott. Palaeontographica Abteilung A 102:1-17.

G.V. Nikolajev 2006. On the taxonomic status of the Upper Oligocene genus Ceruchites Statz (Coleoptera, Lucanidae)

【追記】

 クワガタムシ科絶滅化石種とは触角が見えていなければ絶対に同定出来ないのだが、これを過剰解釈(pareidolic interpretations)によって分類を断行する目的のために触角を想像で描くという行為は捏造と言われても文句は言えない。

 別件だが2019年あたりだったか、Advanced Amber Kretaceous Zoologia (AAKZ, aka the 'pterosaurs in amber' folks) なる研究?団体が化石の過剰解釈による同定をビジネス目的で行い、同意しない学者や学生を教育機関から懲戒処分を受けさせようという越権行為まで行おうとまでした例を告発されている。カネのために卑怯な事をする輩は沢山見てきたが、いくらなんでも卑劣過ぎやしないか。(https://twitter.com/markwitton/status/1188748368295743488?s=21)(しかし日本にも似た例はあるhttps://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20160113-00053369)植物片か何かが入ったミャンマー琥珀を「翼竜の頭部が入った琥珀である」というように同定し、8万〜12万ポンド(およそ1200万円〜1800万円)でオークションにかけたらしい。間違いなら法外な金銭的設定であるのにも関わらず、疑いがかけられても標本の詳細検証がなされていない事は更に怪しさを増している。

 「過剰解釈をして腑に落ちる」という一連の思考動作は人間をはじめ知的生物の癖だが、事と場合によっては大ごとになりかねない。よくよく戒められなければならない。

 胸糞悪い話を聞く度に思い出すのですが、実は私も昔、とんでもないブラック企業(医療関係技術職)に勤めていた事がありまして、求人票にはまぁまぁ普通の事が書いてあったんですよね。しかし入ってみれば残業代は見なしで殆ど出ない(労基対策でカモフラージュのため雀の涙)、早朝から深夜近くまで終わらない仕事量(パート業以外は誰も終業時間に帰る事が出来ない)、タイムカードは一人が名目上の終業時間に全て代行押し(労基対策の為のタイムカード)、有給休暇制度は無く無給休暇制で同調圧力が凄い(休みを取った人は病欠でも必ず陰口を叩かれる)、ずっと愚痴ってる同僚(妬み嫉み)、能力は凄いのに早く死にたいと言う先輩、目の死んでる同僚達、すぐに辞める社員、昇給を匂わせる甘言で社員の士気を上げつつ労働量だけ増やす采配、統合失調症の上司陣経営陣、社員は全員実質コミュ障化、儲かりゃ多少質を落として納品でエエ(薄利多売の方が経営リスクが小さい。なお顧客に叱られた時だけ質を上げる)、外部や顧客には良い顔、昇給有りだが上がった分控除される(最低賃金下回る事もしばしば)、なのに業界では県内上位の売り上げという謎、社員一人一人がアマチュアでは出来ない難しい仕事をしているのに兎に角限界まで搾り働かせるという悪徳黒化型企業でした。会社内では学生気分でいるな云々言われましたが、私の学生時代って其のブラック企業的意識の人々ばかりだった覚えしか無いんですよね。窃盗行為や詐欺行為、恫喝嫌がらせ、バレなきゃなんでもござれだった人も割と多かったですね。むしろ君らが学生気分を早くやめろよと。医師とか看護師は患者の目に入る職業なので、怪我もしない仕事で賃金が高く羨ましかったですね(私のいた業界は毎日のように怪我をしていましたよ)。なので私は人間の根源的悪意には詳しいかもしれません。

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