クワガタムシ科(Lucanidae)についての調査記録など

目的はverificationismに基づく原典検証・情報整理・批評説明。なお非営利・完全匿名を前提としています。

†Platycerus sepultus Germar,1837についての検証

Platycerus sepultus Germar,1837

Type data: Oligocene, “in carbone fossili territorii Rheni prope Bonnam”, Germany.

http://www.fossilworks.org/cgi-bin/bridge.pl?a=taxonInfo&taxon_no=284492

 産地はドイツのボン近郊ライン川流域。約2500万年前の新生代第三紀漸新世の地層から出土した甲虫化石を基に記載された。

 検証説明のため画像を引用する。

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(「E. F. Germar. 1837. Insectorum protogaeae specimen sistens insecta carbonum fossilium. Fauna Insectorum Europae 19」より引用した図)

 記載文ではサイズが不明。

 原記載論文の図からは、この化石がクワガタムシ科だとは言いづらい。何の虫なのか分からない。

 ちなみにこの種について、Nikolajev, 1990はクワガタムシ科やルリクワガタ属への分類を疑問視していてホロタイプの観察を必須だろうと言及し、私もそれには同意する。だが其れを言うならNikolajev自身の記載種はどうなんだと場外乱闘ながら突っ込みたくなるのだが。。

【References】

E. F. Germar. 1837. Insectorum protogaeae specimen sistens insecta carbonum fossilium. Fauna Insectorum Europae 19

G. B. Nikolayev. 1990. Stag Beetles (Coleoptera, Lucanidae) from the Paleogene of Eurasia. Paleontological Journal24(4):119-122

【追記】

 倫理観を考える上で、他人に厳しく自分に甘い人間を皮肉り戒める「人の七難より我が十難」という日本の諺を思い出す。しかし、こと金銭や立場の関わる業界は吹毛之求が如く輩が跋扈しており、更に派閥が先鋭化していく(しかも彼らみたいな人間ほど夜郎自大なのだ)。そんな社会に溶け込まなければ村八分にされてしまう。奥ゆかしさに乏しい業界になってしまったが、日本以外でも見られるとはイヤハヤ僥倖な見聞となった。これだけ不安要素が積まれながら開き直って「私は大丈夫」とどうして言えるのか。「嘘も100回言えば真実となる」とは何処の伍長の側近の言葉だったか(ゴドウィン点に達する)。

https://www.youtube.com/watch?v=_dhtP-k4vgU

 化石種は昔からだが、近年は現生種の新種記載論文でも非常に分かりにくい論文が多い。比較標本が無い、分類群の自然界における隔離条件が示されていない、途中まで推論だった話を妥当な理由も無く断定にすり替える等、いずれも誤解を促すような科学的良心に欠く行為だ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

 分かりやすい考え方の悪例も実際にある。(特定されないよう情報をボカすが)とある記載者による"あるカブトムシ"の新学名群のアレらはパラタイプを増産し、お金持ちに高額で売りつける意図を含まれた記載であった(現在は削除されているが、過去その論文を有名雑誌へ掲載の折、関わったらしい一人が某SNSで得意げに汚言を吐いていた事を昨日の出来事のように覚えている。他にも「あの事かな?」程度に覚えている人が居るのではないだろうか。別件だったとしても其れも悪例である。それくらい是迄の昆虫業界では異質な出来事であった)。其れらの記載論文はいずれも疑惑があり、交尾器形態の変異を無視、スケールバー皆無、既知種タイプ標本の図示が雑、知見整理の記述論理も破綻的且つ、曖昧な判別法を「生物種(←確率的現象では無い)分類」に用いるなどの非科学的方法の採用は歪曲的であり不正研究の可能性なども考えられ、また再現性に乏しい結果を出している(再現性が無いなら汎用性のある論文では無い)。今の時代、原記載以外でのパラタイプ増産は偽ラベル標本とのコンタミネーションを促しており反科学的行為且つ国際動物命名規約第四版の最終目的「安定・普遍・唯一・独自の分類群の命名」から遠ざかる。加えて一連の素行や言動から、この記載に関わっている人達は非常に強欲で金銭的問題を沢山抱えうるように思えたため、私は関係しないように気をつけている(実際に標本を現地原価相場の数百倍以上にして売り込んだり、ホームページで思想性の薄い評論を書いたり、コレクターに嘘の価値観を吹き込んだり)。だが大手の博物館や国立大学の人間も関わっていて大笑いした。調べれば件の嘘はすぐに分かる。そもそも論文の謝辞に競合した別論文と同一人物名が入っている時点でお笑い草である。言わずもがなだが、巷でも疑問を漏らす人々はおられ、私と同意見の人も沢山いた。ちなみに色々な問題を清算していない事について、某社の某氏は「商業誌だから仕方ないんです。」と仰ってられたので、なるほど商業誌だから敢えて悪評を集める商業的な論文を通し問題を増やして放置するんだと暫定的に納得し、私は一応の溜飲を収めた事をここに記す(科学的には納得していない)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E8%A1%8C%E7%82%BA

 Twitterは時折とんでもない昆虫分類学者に出会える。例えば今はやはり削除されているツイートだが、クワガタムシ科の琥珀か否か画像を尋ねられて「クワガタムシ科で大丈夫」と返答していた学者が居た(画像はこのURLから見られる→https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRnyyI_u44sRqtfBq-Qj3xofz3avuqEwzadgA&usqp=CAU)。触角ラメラ形態は確かにクワガタ的な印象だが、センチコガネ科にもありうる形態であるし、体型は全体的にアカマダラセンチコガネ科的である。何より拡大して明るくしてみると、触角が11節構成であるのでセンチコガネ科でありうる。ミャンマー琥珀の出品を10年近く見てきた中では全くクワガタでないインクルージョンを「クワガタムシ科」とする誤同定はとても多かったので、私は気をつけて観る癖がついている。アマチュアの私は「大抵の学者とはそう軽い肩書き」と思っていなかった頃に此のツイートを見てしまったので非常に面食らったしショックだった。


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(削除済ツイートのスクリーンショットより※個人情報はボカシ)

 近似した触角形態を持つセンチコガネ科はGeotrupes属で多く見られる。

 TwitterなどSNSは世界中のインターネット利用者が閲覧可能である。それを利用してデマとも受け止められる情報を公開し、何の説明も無く削除するという事は削除した者には問題無いかもしれないが、情報を鵜呑みした別個人には迷惑な話である。デマ発信者が地位と責任のある人物であれば、あらゆる信頼を損ねる。学者等の肩書きを持った人間が、肩書きを信頼の担保にしながらSNSで情報を出す事は規制されるべきではなかろうか。実際色々追っていると「学者」という肩書きを載せながら威張り散らすアカウントは多く、印象は頗る悪い。私はアマチュアだが、彼らと同じ方向の趣向で研究しているとは思われたくないとすら感じた位である。

 そして、そういった学者の書く論文は全く生物学的種概念に沿っていないし、理解されにくいように長文で煙に巻いている。実力があれば低コストで良い論文が書ける筈なのにである。まぁ、そういう立場の著者の生活の為に作られる論文は、相当に緊張感がある業界でもない限り往々にして分かりにくい。そして未解決の問題が山積している。其れが何を意味しているか、である。

https://www.google.co.jp/amp/s/www.weblio.jp/content/amp/%25E3%2582%25B9%25E3%2582%25B1%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2597%25E3%2582%25B4%25E3%2583%25BC%25E3%2583%2588

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