クワガタムシ科(Lucanidae)についての調査記録など

目的はverificationismに基づく原典検証・情報整理・批評説明。なお非営利・完全匿名を前提としています。

2021-12-04から1日間の記事一覧

【論考】原著論文を読む事の重要性とはなんぞや。

生物種を知るためには標本が必要になる。そして具体的な概念とその定義の按配を知るには網羅的な観察に加え、原著論文の確認が必要になる(原綴りの確認にも必要だが、必要となる理由は過去記事の【追記】にて超長文だが説明したのでリンク:https://ivene.h…

【論考】ホロタイプなど担名性を持つ模式標本観察の重要性とはなんぞや。

巷ではよく「誤同定」がなされる。昔ならば、誤同定をしている人達は指摘されるとすぐに正確な情報に従い、己の信頼性を維持していた。しかし昨今では、其の「信頼性」に無関係な宗教観やイデオロギーを由来して観る人間がTwitterなどのSNSで先鋭化され、間…

【論考】人為絶滅?ガゼラツヤクワガタ・ニアス亜種について

化石種を見ていると、やはり絶滅というのは生物の儚さを知ると同時に悲しい気分になる。生きた姿を見られないからである。例えばたしかに、琥珀の中の虫などはまるで生き生きとしていたところで溺死したという姿勢をしているが、やはり個体として「生きてい…

【論考】めんどくさい標本とはなんぞや。

データが曖昧で、既知分類群の形態に当て嵌めにくい標本は視覚的には興味深いのに研究には使えない。しかし、そういう標本も半永久的に残りうる。 (1999年スマトラ島産66mm。採集人が適当に仲介業者に渡すと詳しいデータが分からない。形態も細部は歪で、天…

【閑話休題】"Lucanidae科甲虫などの変異"に関する論考③

現生するクワガタを題材に、様々な形態の見方を解説する人は多い。特にツヤクワガタ属(Genus Odontolabis)などは、サイズと顎の形態変異との間に相関振れ幅が広い例が多く、他のポピュラーな種から思い込んだ固定概念を取っ払ってくれる。 必ずしも大歯個…

【閑話休題】"Lucanidae科甲虫などの変異"に関する論考②

クワガタムシを始めとする昆虫は、やはり発生変異が種によって振れ幅を違えるという状況が面白い。 しかし、一見して視界に入りやすい「外形」は良いのだが、論文上で別種であるという根拠で示される「交尾器形態」や、参考にされる遺伝子は変異の事をあまり…

【閑話休題】"Lucanidae科甲虫などの変異"に関する論考①

昆虫などの生物を調べてみると雌雄型(モザイクを含め)をはじめ、「奇形」や「突然変異」の単語を見聞きすることが少なからずある。外的影響のみによる外傷など身体の状態変化に限った見た目の変貌とは異なり、遺伝子的な影響が主として働き生じる変貌であ…