†Paralucanus mesozoicus Nikolajev, 2000についての検証
†Paralucanus mesozoicus Nikolajev, 2000
Type data: Shar-Teg, outcrop 443/1 (PIN collection 4270), which is in a Tithonian lacustrine - large mudstone in the Sharteg Formation of Mongolia.
http://www.fossilworks.org/cgi-bin/bridge.pl?a=taxonInfo&taxon_no=230335
†family Paralucanidae Nikolajev 2000
http://www.fossilworks.org/cgi-bin/bridge.pl?a=taxonInfo&taxon_no=315333
産地はモンゴル南西端のSharteg Formation。約1億5000万年前の中生代ジュラ紀チトニアンの地層から出土した甲虫化石を基に記載された。
論文ではクワガタムシ科の祖先的な種とされている。
さて検証説明の上で、どんな化石なのか実際に見てみなければ何も分からないので掲載される論文から画像を引用する。
(G. V. Nikolajev. 2007. Mezozoyskiy Etap Evolyutsii Plastinchatousykh (Insecta: Coleoptera: Scarabaeoidea) 1-222より引用した図)
http://macroid.ru/showphoto.php?photo=46702
(別画像リンク)
現在はクワガタムシ科(Lucanidae)とは異なる科への分類が主流なので別に良いのかもしれないが、原記載ではクロツヤムシ科(Passalidae)やオサムシ上科(Caraboidea)等を差し置いて、Paralucaninae亜科でLucanidae科内に分類されていた。
頭部の先端側に大きく占める部品は上唇節?あとフセツが痕跡程度しか見えない。スケッチの触角トレースが画像の位置と全く違うように見える。その触角も痕跡程度で形が全く分からない。スケッチの触角ラメラ(片状節)形態に近い形態のラメラを持つのはケシキスイ科(Nitidulidae)。偶然かな?触角はケシキスイ科らしく11節で描かれているようにも見える。脚部形態もケシキスイ的である。ちなみに現生するクワガタムシ科の触角は10〜8節である。とはいえ画像では細部迄は見えない。コクヌスト科(Trogossitidae)や或いはゴミムシダマシ科(Tenebrionidae)かもしれない。
以上の事から、いくら記録としての意義があるとはいえ各分類群の定義に従うならば、この分類群については同定不可とする事が至極妥当と思うのだが。
また腹部に雄交尾器が見えるらしいが、色が少し濃いだけで雌交尾器でない等とは言い切れない。
【References】
G. V. Nikolajev. 2000. New subfamily of the stag beetles (Coleoptera: Scarabaeoidea: Lucanidae) from the Mesozoic of Mongolia, and its position in the system of the superfamily. Paleontological Journal 34(Suppl 3):S327-S330
G. V. Nikolajev. 2007. Mezozoyskiy Etap Evolyutsii Plastinchatousykh (Insecta: Coleoptera: Scarabaeoidea) 1-222
【追記】
主観による見識で断定してはいけない。それをしてしまうと科学ではなく思想優先の問題になってしまう。クワガタらしいからクワガタなんだと言って腑に落ちた気分がして気持ちいいのかもしれないが、その気分には全く科学的根拠が無い。
【Key words】Lucanidae, Lucanid beetle, Lucanids, Lucanoid Coleoptera, Stag beetle, fossil, extinct species, article, description, クワガタ, クワガタムシ科, 甲虫, 昆虫, 化石,