クワガタムシ科(Lucanidae)についての調査記録など

目的はverificationismに基づく原典検証・情報整理・批評説明。なお非営利・完全匿名を前提としています。

【論考】他人の個人コレクションをネット上に公開する場合にかかるレギュレーション

 裏で怨嗟とともに結構しんどい話題が舞い込んできた。いまは事が穏便に進んだように見えるが状況を見るに強引且つ狡いやり方が気になる。それに被害者側がどうも浮かばれない気がしたのと私個人的にも現状の歪な状況にしんどさを感じたので詳細をボカしながら記事にする事とした。事件は某半匿名性SNS上でとあるコレクターの一部コレクションが、割と著名な人物らの関わりによって"途中まで"所有者の許可なくネット公開されていたという話である。本来別の形で展示する話だったようだが、未だ展示もしていない時点で全くレベルの異なる公開性のネットに出された事は少なくない人達が違和感を持つに至っている。あたかも許可を得たかのような発信且つ無断ネット公開側の関係者らの間で諫言も無かったようで驚きではあったが、やはりかという気分もあったし正直ガッカリした。そういう事を平然とやる人が此の業界には普通にいるから簡単な気分で他人に大切な非公開物品を撮影させてはならないと改めて身構える。

https://sp.okwave.jp/qa/q6196156.html

 例えば上記URLのように昆虫標本ならば著作権が無いみたいな言い回しがあるから、誤解してホイホイ転載する人も増えてしまいそうである。しかし詳しく法理学的に考えると下記URLのような法的理解があるから危険行為とも言える(マナー的考えもあるが謎マナーと見分けがつかないものに制限される意味もよく分からないから法律的理解は参考になる)。

https://monolith-law.jp/youtuber-vtuber/photographing-others-property

 例えば私でもGoogleなどネット上で拾ってきた画像を参考図として箱に貼り、面倒で其のまま展示する事もあるが、大抵は法律上技術的保護をされるレベルまで画質をボカしている(どうせ仮置きだから画質に拘らない)。

 実際過去に「雑誌に転載された」としてネット上の画像公開者が著作権を用いて出版社を提訴した事があったが、元画像にコピーライトを示すサイン付記も無く雑誌上の転載画像は画質を著しく下げられており引用必要性も見出せた為、提訴を却下されているという判例を私は知っているから応用しているのである(具体的な法律の詳細は以下URLにて)。

https://i2law.con10ts.com/archives/1008

https://i2law.con10ts.com/archives/1014

https://riocampos.hatenablog.com/entry/20190125/thumbnailsizeincopyrightlaw

 また例えば展示物を撮影した画像についても非営利且つ私的利用に留め「公開」していないならば法的には問題が無い。

 そして私が他所所有コレクション画像を鮮明な画像で転載公開する場合は必ず許可を取っているし、他の人達がやっているのも私的な公共物利用様態だったとして許可を得てやっているのだろうと考えて見ている。

 だが今回の事件は、未公開時点だったコレクションが箱ごと「公開」され、無断転載が違法と言えるくらい高画質の画像(全体的に割とハッキリ見える)であり、しかも文章などの添付情報が引用元画像情報に比べ過少であり"其れら"の引用意義や必要性を認めづらい。画質については虫本体の鮮明な構造が見えていないというのは問題では無い。引用元が明らかにされている未加工と推察される画像1枚に関する画素数がサムネイル以下になっていない事が争点になる(サムネイル画質になればドット絵レベルになり画像紹介にはならないのだが)。そもそもコレクションの所有者であるコレクター氏がネット上への公開を希望しておらず最初の時点で不本意のようだったそうなので"使用収益の収奪"に当たる可能性を否めない。

利益(りえき)とは、以下の2つの意味がある。

1. 利すること。利得。得分。もうけ(儲け)。とく(得)。

2. 「利益を得る」 ためになること。益になること。「公共の利益」(この意味の場合、利益を得るための活動を「営利(えいり)」という)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E7%9B%8Aより引用抜粋

 「既に公表された論文などからの検証目的等としての引用」ではなく、個人的な未公開時点所有物を無許可で所有者の期待に"著しく"沿わない形でネット上に公開された場合は現行の著作権法に抵触する可能性がかなり高いから気をつけないといけない。

 まぁ件の事件について私は当事者では無いし、違和感に気づいた有能な人物による第三者仲介が入ってからは穏便に済まされるなりされているような感じかもしれないらしいので成り行きに任せるが、見立てではレギュレーション的に全くのアウトだから真似されるべきでない事なのは確かである。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/riyohoho.html

 当ブログだと此の部分にも相当に気をつけて画像を出している上、引用表記の無い標本画像は私的所有物であるから無断転載防止の為にロゴを入れてある。

 というか他者所有のコレクションを転載するなんて何かの記念だったとしても滅多に動機が無い筈なんだが、自身の所有物を使わずに毎回のように他人のコレクションを軽い気分で私的転載公開される様態は社会通念上如何なものかと訝しまれるものである(まぁ添付文章が簡単過ぎたから早々に気付かれたというのが大きいが)。

 SNSでは著作権にかからないよう気をつけている人もいるが、軽薄な気分で著作権を破る人も多いから、法的手続きや人間関係の清算が面倒で頭を痛くしたり泣き寝入りする人もいる。この辺りはよく知っていた方が良い。

https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTIt31Qx4AqG35CMkjvWG_Hzu5ZFCJoTjMsDA&usqp=CAU

【追記】

 とりわけ他人の事情よりも我の事情を優先する人間が多くSNS発信する時代であるので、快不快の為に自我を押し通すのを優先して「法理的にも通念的にも当然である事から逸脱した行為」をすればどうなるのか教訓を知っておくべきと考え記事にした由。

 特に半匿名性SNSだと一部の人に不義理な事をしたとして殆どの人には其の背徳的行為が知られない。だから加害側の名誉がそんなに損われず反省が軽く済んでしまい再び別の失敗をして他人に迷惑をかけ続ける人達が絶えないという非常にアンフェアな現象が恒常化する。失敗をして教訓を得ただろうとして許された人物がいたとしても法理的には被害者がいるのを忘れるべからず。偽善的な主張が不都合な真実をひた隠している事も昨今では少なくない。どんな表現でもSNS公開発信は何処かの誰かにとっては訝しいものなのであるから私のところにこういう辛い話が来る訳である(来ないような時代になるのを望む)。

f:id:iVene:20220110235552j:image

(美しいヒゲブトハナムグリ。現状何故か人気が無いが外形はホソマグソクワガタらしさがある。)

f:id:iVene:20220110171910j:image

(「クワガタムシ科」を知るには近縁別科や近似別科の虫の観察が必要になる。ネット上などの画像で事足りる場合もあるが、不足している情報が有ると見通せたなら実物を顕微鏡で観察した方が確実な事が分かる。しかし借りるより自身のコレクションにした方が処置をする上で面倒が少ないので、私はなるべく借りないような方向性で調達している)

f:id:iVene:20220110235701j:image

ニセコスジコガネ科はクワガタムシ科に近縁かもしれないと云われ、確かに細部形態や交尾器形態も似る部位が多い。ちなみに微小な虫も交尾器を観察したいので自分で標本を作る。割と構造の強い個体が多いので方法を工夫して慣れればeasyと考えられる。)