クワガタムシ科(Lucanidae)についての調査記録など

目的はverificationismに基づく原典検証・情報整理・批評説明。なお非営利・完全匿名を前提としています。

ホロタイプ の検索結果:

目次:Table of contents

…70313 【論考】ホロタイプなど担名性を持つ模式標本観察の重要性とはなんぞや。https://ivene.hatenablog.com/entry/2021/12/04/214417 【論考】原著論文を読む事の重要性とはなんぞや。https://ivene.hatenablog.com/entry/2021/12/04/214549 【論考】パラタイプ標本は多い方が科学的には良いhttps://ivene.hatenablog.com/entry/2021/12/18/08…

【第拾貳欠片】約1億年前・後期白亜紀セノマニアン前期のクワガタムシ科入りBurmese amberについて

…か死骸拾い等がある。ホロタイプ1頭で記載された理由など以前の記事に分類の話を少し記してあるhttps://ivene.hatenablog.com/entry/2021/12/18/085426。またGenus Lycomedes Brême, 1844に近しい形態をしているから其方の属に入れるべき種なのかもしれない。日本国内だと故・永井信二氏もボロ個体を所有していたが愛媛大学に搬入する際に見なかったらしく例の事件で消失した可能性が高いと聞く。原記載論文はドイツ語だが当分類群…

†Litholamprima qizhihaoi Rixin Jiang, Chenyang Cai, Michael S. Engel, Boyan Li, Haitian Song, Xiangsheng Chen, 2022についての検証

…ールバーは5mm) ホロタイプとパラタイプの2化石で記載され、体長は23.9–24.8 mmとされていて白亜紀の甲虫としてはかなり大きい。記載文では♂個体群と断定されるが交尾器の検証は無い。また同属と予想される2化石を♀個体群として図示されている。既知種Litholamprima longimana Nikolajev & Ren, 2015とは大顎など諸外形差異と産出した地層の年代の差から別種とされた。しかしタイプ標本の計3個体の関係性が明瞭にされている訳では無い。 htt…

†Genus Anisoodontus Long Wu, Hao Tang, Lingfei Peng, Huafeng Zhang, Haoran Tong, 2022についての検証

…qizhihaoiのホロタイプ標本とされるものは当ブログの第拾欠片のクワガタムシ科甲虫によく似る。 https://ivene.hatenablog.com/entry/2022/03/26/090736 Anisoodontus xiafangyuani Long Wu, Hao Tang, Lingfei Peng, Huafeng Zhang, Haoran Tong, 2022 Type data: mid-Cretaceous Burmese amber. (「Lo…

【第拾壹欠片】約1億年前・後期白亜紀セノマニアン前期のクワガタムシ科入りBurmese amberについて

…必須になる。飼育品をホロタイプにしてはならない理由のヒトツでもある) 私の収集品は入手した時系列的に考えても全く問題無い標本ばかりと主観的には絶対的な自信があるようなものばかりだが、知らない人から客観的に見れば「其れは自信過剰だろう」と思われそうな不安がなくは無い。というのも単純に"人為的表現だけでは科学的知見を客観的に保証するだけの因果関係は無く信用されきれない"という現実的問題があるから自己批判的な姿勢と自問自答が欠かせない。昨今だと"印象操作だけで価値付けをしよう"とす…

【第捌欠片】約1億年前・後期白亜紀セノマニアン前期のクワガタムシ科入りBurmese amberについて

…に記述される分類群のホロタイプ標本が偶々手元にあったからといって個人所有に挿げ替え博物館館長と共謀してオークションに出品断行し一般人から金銭を巻き上げた虫屋もいたがあの行為はどう言い訳されようが"置き引き"とやっている事が変わらない) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BD%AE%E5%BC%95%E3%81%8D 【近況】 クワガタムシ科甲虫入りミャンマー琥珀が3個体出回った情報が入ってきた。私の見逃した個体群である。これで現時点では「私の…

【第柒欠片】約1億年前・後期白亜紀セノマニアン前期のクワガタムシ科入りBurmese amberについて

…agus taniのホロタイプ標本ほどクリアでは無いものの自身で観る中では其れ迄に無いクリアさがあった。アミメカゲロウの保存状態も頗る良い。不思議な事だがクワガタとアミメカゲロウが同じ琥珀に入るのを見るのはこれが2つめで生態的な接点が垣間見える。 アミメカゲロウ入り琥珀としての出品で甲虫もあるとされていたものだったが、なんと其の甲虫はクワガタだった。透明度が高く出品画像でも一見してクワガタと分かったが、それでありながら出品者が何故甲虫個体を同定しなかったのか今になっても謎のま…

【第參欠片】約1億年前・後期白亜紀セノマニアン前期のクワガタムシ科入りBurmese amberについて

…agus taniのホロタイプ標本も保存状態が最高クラスに良いが其れでも眼角や小顎髭にヒビ割れが見られる。5mm以上の甲虫ほど此の傾向が顕著にあり、現生種の入った樹脂標本はそんな見た目が全然見られないから判別は容易である。虫体のヒビ割れについてはミャンマー琥珀、バルト琥珀、ドミニカ琥珀のいずれでも確認出来る(古いほどヒビ割れ率が高く規模も大きい傾向がある)。むしろ虫体にヒビ割れの無い琥珀の方が珍しいのではなかろうか(そういう画像の個体もあったが良い顕微鏡で見直せばヒビ割れが見…

【論考】再現性を確認出来ない記載文が駄目なのは何故か

…が必須になる。だからホロタイプ1頭での記載などや図示に不足のある論文は使用性が低くなってしまう。以下に見間違えそうになる例を示す。 ボリビア産クルビペスシワバネクワガタ:Sphaenognathus curvipes Benesh, 1948の♂個体は、中脚と後脚のケイ節がグワリと湾曲する。綺麗な奇形という訳ではなくて、これが当分類群の形態的特徴であるのは記載文だけでなく昔からある色々な図鑑などで再現性を確認出来る。 ベトナム北部産マクレランドノコギリクワガタ:Prosopo…

【論考】騙し討ち・はめごろしのある界隈で

…理解されていたので、ホロタイプ1頭での記載をはじめ変な論文がパラパラと出てきたのを見た時は違和感が凄かった。だが、やり取りをしている感じでは、他人の意見に振り回されやすい人柄だという事も薄々勘づいていた。 しかし、どうもこの学者氏がトラブっている状況には違和感がある。なぜ、それまでそこそこ思慮のある論文を書いていた人物が、いきなりそんな非科学的な論文を公表してしまったのか。またなぜ、そんな裏情報が巷で出回っているのか(どちらかというと中国側から流れてきた情報の模様)。 ここ数…

【論考】ABS問題 VS 生き物業界

…る事になる訳である(ホロタイプ観察や再記載等)。逆に日本やヨーロッパ等の出版社関係からすれば死活問題で難しい状態である。まぁ昔から殆どの出版社の考えというのは全能感に溺れたような感覚だったろうので今はキツい報いを受けているという状況なのかもしれない。論文著者も出版社も責任は重くある。 ビジネス本意な要素が勝った分類学ならば不健全そのものにしかならない。だからこれまでも古株の標本商達もアマチュア分類屋達も大コレクター達も、あまり口にはしないため目立たないが其の一線を越えないよう…

【論考】基準産地のデータラベルの正確さについて確認が求められる意義とはなんぞや

…見がない。ベトナムでホロタイプになる個体を採集したのはH. Perrot氏と記載があるが、Perrot氏の採集データが付く個体を見る度に、なんだか採集の再現性が低そうなものが多い事から違和感が集まる。記載者Lacroix氏は財力にモノを言わせて収集をしていたそうだが、それが祟って嘘データ標本を売りつけられていた事があると云われ、こういうデータ面での疑惑を訝られる場合が多い(採集者が正直にコレクターにデータを提供すると別の採集者へ流出・利用されるようにもなりうる。商売根性逞しい…

【論考】「誤同定を促す行為」が研究不正である事についての検証

…しないのか」「何故、ホロタイプを観ないのか」「何故、生物種の隔離の根拠が示されないのか」「何故、近縁種との包括的比較観察に乏しいのか("コントロール"という用語理解の欠乏への懸念)」「何故、実物を見ないでデフォルメの可能性がある絵や模型を参考にするのか」「なぜ出自や由来の不明瞭で怪しげな資料を根拠にするのか」「何故、しっかりとした考えをしていないのか」という話題が始まりであった(其方の方向での検証については他記事参照)。 https://twitter.com/rex_toy…

【俗談】先人の誤同定ラベルは捨てないでおこう

…なりやすいのは、やはり大衆がスキャンダル好きなだけという下賤な印象がある。私は学名や、その意義については応用必要性の為に利用しているだけなので、雑多な標本とコンタミしてはならないホロタイプなどタイプ標本群や論文に使用されたと定義された標本群以外は、誰が同定したかなんてどうだって良い。大切なのは考察の精度と其の前提となるクオリティである。 私は自分の無知を、そう酷く恥ずかしがらず、分からない事については、全然私には分からないと白状するべきである。 (ジャン・アンリ・ファーブル)

【論考】ホロタイプ標本を壊すな

ホロタイプ標本参照必要性や、特徴を観察する意義などはこれまでの記事で、教訓を用いて説明した。今回記事にするのは「標本の損壊」について。 「ホロタイプを壊しちゃいけない」なんて当然なんだから心配しなくて良いだろうと言う人もいるだろうが、実際では其の理想的な状況とは裏腹に、信じられない事が現実にあるから念押しをするものである。 標本が一部損壊すると、その生物個体の形態は完全ではなくなる。つまり資料価値が劣化する。たまに交尾器の欠損した現生種の個体もあるが、そういう個体は殆ど価値が…

【Textkritik】無意味な論文で優位性をアピールするな

…もあるが私は未見)のホロタイプに指定した標本に基づき、ニグリトゥスフタマタクワガタと比較され、昆虫フィールドなる雑誌で出版されている。実際的には複数標本を揃えたり、近似するパリーフタマタクワガタ各亜種がいるのだから其れ等分類群標本も比較に加えて近縁グループ内での網羅的検証が必要であるのに対し、非常に検証不足の多い状態で記載されているというのはある。とはいえ其れは、そういう知識の全く無い雑誌で出版されたからというのみが問題を増幅させたくらいであり、国際動物命名規約的には学名とし…

【論考】パラタイプ標本は多い方が科学的には良い

…純な話、パラタイプはホロタイプの原著論文内で「生物種的特徴の再現性」と「他の普遍的標本との識別」を示される為にある。簡単に説明すると、沢山あれば論文内で生物種としての形態的特徴の再現性・安定性を、著者が確認した事をアピール出来る。それだけのメリットだが、沢山あって損は無いというお話。 パラタイプ. paratype; タイプシリーズを構成する標本のうち,ホロタイプ以外の各々[勧告 73D] . 勧告 73D. パラタイプのラベルづけ.ホロタイプにラベルづけした後, タイプシリ…

【論考】ホロタイプなど担名性を持つ模式標本観察の重要性とはなんぞや。

…が異なる。 其れ等のホロタイプ等担名級タイプはネットで調べれば出てくる(厳密には実際に交尾器などとの比較が必要になり、殆どの昆虫種で交尾器の変異等図示が無いため、現状の論文や図鑑のみでは観察不足が避けられない)。 Lycomedes ohausi Arrow, 1908 Type (記載文では16頭を検し11頭は♂とされる。Lycomedes burmeisteriと比較される。Lectotypeは未指定のようなので、記載文の特徴通りの形態を示すURLにある個体が指定されうる…

【閑話休題】"Lucanidae科甲虫などの変異"に関する論考①

…可能性がある飼育品をホロタイプにした新種記載があったり、ホロタイプ1頭で新種記載したり、種や亜種の集団隔離を正しい方法で検証せずに分類したり、既知種のホロタイプや変異幅をしっかり調べないで同定記載される論文だらけなのかと、私はもう何年も前から疑問視している。既知の生物学を知っていれば分かるが、其れらの論文の記述は曖昧且つ不確定要素を根拠として白昼堂々と「分かった」などと明白な嘘を公文書として書いているのだ。 (短歯しかいないと噂の憐憫なノセオニクワガタ、その「思い込み」は「諦…

【余談】Alienopteraアレコレへの感想

…ば、下手をすると同科ホロタイプ標本の幾つかより断然に良い。 前胸背板後縁も特徴的。また肩パッド状の形態は、あまり見られない形態だが、狭い場所で後翅関節部を保護するなど役立っていたのかもしれない。何処かの論文に考察があるのだろうか。甲虫ような鞘翅を獲得するという事は、柔らかい翅のみでは生活していけない生態をしていた可能性は高い。例えばAlienopterix属は腹部先端近くまで鞘翅的な前翅を持ち、Liuo, C.-H.; Beutel, R. G.; Thomson, U. R…

†Ceruchus fuchsii Wickham,1911についての検証

…た。なお観たい場合はホロタイプを観に行かなくてはならない。残念ながら当然だが、観ない人は虫の究極的な奥深さを知る事が出来ない。 「画像も貼らずに記事化とな?」と思われたとしても、わざわざ博物館が引っ込めた画像を単なるブログの為に引用するのは気が引ける。 稀に「ホロタイプを見に行かなくちゃ分類出来ないなんて言う奴は病気!」と言う一般人が居るが、それこそマトモな思考が出来ていない。しかし、そういう論に便乗する「学者」が居ると、私の眉間に皺が寄る事になる。既知種のホロタイプと比較さ…

†Platycerus sepultus Germar,1837についての検証

…分類を疑問視していてホロタイプの観察を必須だろうと言及し、私もそれには同意する。だが其れを言うならNikolajev自身の記載種はどうなんだと場外乱闘ながら突っ込みたくなるのだが。。 【References】 E. F. Germar. 1837. Insectorum protogaeae specimen sistens insecta carbonum fossilium. Fauna Insectorum Europae 19 G. B. Nikolayev. 199…

†Succiniplatycerus berendti (Zang,1905)についての検証

…がある。実際の既知種ホロタイプ化石は、時代考証的にも既知種同士の雌雄差や種内個体差程度の生物関係だったかもしれない、記載文は綺麗にスケッチが書かれているが実物は酷く変形していて検証困難かもしれない、そもそもでっち上げられた分類群かもしれない。様々な可能性も考慮されるべきであったが、他既知種について上手く実物観察出来なかったために苦肉の記載になったのではないかと推察する(それ故に詳細に記述したとも考えられる)。あるいは、適当な形態的差異があるなら種記載してしまえば良いという非科…

†Dorcus (Eurytrachelus) primigenius Deichmüller,1881についての検証

…んだ。生物種分類ならホロタイプの観察、沢山の標本の形態変異や特徴と其のデータから導き出される相関現象考察、交尾器形態などの生物学的隔離や地理的隔離の付記、遺伝子情報からの変異推定や遺伝子機能からの種内変異出現の既知知見論理、生物種学名を維持するために規約がある事や原綴りを確認したり、命名規約には両論解釈が無いという解釈が必要と理解したり、シノニムのようでシノニムにならない普遍化した種学名についてなど、様々な事を参照せねばならないのに出典が示されてなく、意味の無い議論へと突き進…

†Protognathinus spielbergi Chalumeau et Brochier,2001についての検証

…いとされる。現生種のホロタイプ等担名タイプ標本のみの記載でパラタイプ等のタイプシリーズ以外の標本との区分を設けられていない論文に至っては、自然現象なら大前提となる「変異幅」や「新種ではない既知種の稀型かもしれない可能性」に関する論理を無視し「将来的に被参照資料として特別な信頼性を付与された副模式標本資料の観察を怠る事を推奨」してすらいる。また複数個体で記載されていた方が、変異が被りシノニムになるのか、有効な種なのか判定しやすい。はっきり言って担名タイプ標本一個体の指定で記載さ…

†Protonicagus tani Cai, Yin, Liu et Huang,2017についての検証

…人も居る。兎角彼らはホロタイプの型と産地が違えば新種記載して良いという考えを拡散していて、これまでの科学史におけるマイヤーの生物学的種概念や、ダーウィンの進化論、メンデルやモーガンらによる遺伝学、そして其れらに続く膨大な知見の結果を無視し相反すらする論述を論文にしている。これは悪徳な人物がボロを出さない限りなかなかバレない為、学者でもやる人物は多い。ただ、偽データを偽データたらしめるのは自然界での状況であるので現地での調査で正確な検証は可能であるし、標本も加工済で偽データの場…